一般的には
「弱い者」が自分を強く見せようとして「強い者」の威光を振りかざす
という意味の故事成語として広まっているのだが、
生徒にこの「狐借虎威」というたとえ話の意味を尋ねたところ、
きちんと意味も説明せずに、
ドラえもんに出てくる「スネ夫とジャイアンの関係っ!」
と、たとえをたとえで説明する見事な答えが返ってきた。
ところで、このエピソード(狐が虎を従えて歩いていたら、他の獣たちが虎を怖がって逃げていったのに、虎が他の獣たちは狐を恐れていると勘違いをした、という話)も、それ自体がそもそも比喩であることはあまり知られていないと思われる。
そもそも、この話が載っている『戦国策』では
「楚」という弱小国と「秦」「魏」「斉」という三つの強大国が紹介されたのち、
「楚」の王が家来たちに次のように尋ねたという。
「強大国の間では、私ではなく宰相([筆者注] No.2の者)が恐れられているらしいが、本当か」
と。
実際には本当なのであったが、家来たちは決して「はい、その通りです」などと正直に答えることもできず、黙っていた。
すると「江乙(こういつ)」という隣の強大国・魏からの使者が現れて、
宰相が恐れられているのは「虎の威を狩る狐」だからですよ、と言って楚の王を安心させる。
すなわち、
恐れられている「宰相」は、そいつの力ではなく、背後にいる王、あなた様の力を利用して偉そうにしているだけなのです、と「江乙(こういつ)」は説明し、宰相のずる賢さを説くのであった。
したがって『戦国策』では
「王が自らの強さ、偉大さに気づく話」
としても紹介されているのである。
だから、決して「狐はずるい」という意味だけの故事成語ではなく、
またその後、魏からの使者に欺かれ、そそのかされた楚の王は「宰相」をどう扱うのかに興味は移っていきます。
この話については、戦国時代という「互いに疑心暗鬼を生む時代」を生き抜く権謀術策の一つとして、是非とも学んでおきたいものである。
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